Houdini 14は、砂など粒子シミュレーション用の新しいPosition-Based Dynamics (位置ベースのダイナミクス) ソルバや、新たな群集パイプラインツール、ユーザインターフェースの強化、毛髪用のグルーミングツールなどにより、ユーザエクスペリエンスとスケーラビリティの改善がなされ、VFXアーティストやアニメータ、ゲーム制作者に最適化されたパフォーマンスを提供します。
Highlights:

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POSITION-BASED DYNAMICS 新しいPosition-Based Dynamicsは、湿った砂や乾いた砂のシミュレーションに最適なマルチフィジックス環境を提供します。Houdini独自のVEXベースのオペレータによるマルチスレッド対応アーキテクチャにより、この新しいソルバは、OpenCLを使用したGPU、またはCPU上で動作させることができます。 砂のエフェクトの他、ソリッド形状や薄いシート形状、あるいはロープ形状を作成し、ソフトボディやクロス、ワイヤー状オブジェクトのシミュレーションを生成することも可能です。 |

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CROWDS 新たな群集システムは、新搭載のエージェント型プリミティブと Finite State Machine ソルバ、ハードウェアアクセラレーションによるインスタンス化された群集を、アーティストに使いやすいシェルフツールから使うことができます。 このシステムはHoudiniのMantraレンダラにシームレスに接続し、群集の配置や操縦、衝突回避、地形対応、モーションブレンド、視点設定等の制御も可能です。 |

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HAIR GROOMING 毛髪の作成およびトリミング、スタイリング用の新しいツールセットには OpenVDB をベースにした Stroke SOPが新たに搭載されました。これらのツールは毛髪のガイドに従って操作することができ、完全にプロシージャルでアーティスティックなコントロールが可能です。 この新しいツールは、既存のファー (Fur) ツールにも対応しており、毛髪の作成、カット、伸長、ランダム感や空気感の表現、毛繕いなどが行えます。毛髪レンダリングは新たに改良されたヘアモデルを搭載し、毛髪のダイレクトレンダリング処理の大幅な高速化を実現しました。 |

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USER EXPERIENCE プリセレクション ハイライトから新しいハンドル、改善されたエッジループ選択、UDIM に対応した新しい UV Flatten および UV Layout ツール、高度なビジュアライザのアーキテクチャ、カスタムパネルなど、アーティストがプロシージャルな作業進行をより容易に行えるような機能強化が数多くなされました。 一方、アニメーションレイヤを備えた新しい高速 アニメーションエディタや、リグの表示と再生の大幅な高速化は、アニメータにその実用性を実感していただけるものです。 |

Feature List:

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USER EXPERIENCE |
Selection:

- 迅速かつ精確
- セレクションモードへのアクセスが容易に
- 事前選択ハイライト表示
- 直感的かつ視覚的なグループビジュアライゼーションおよび選択
- モデリング作業中のグループ名の保持
- SOPのクッキング後も選択を保持
- SOPのGroup入力フィールド横のボタンを押下し、セレクションをトリガ
- 最新の直感的なエッジループアルゴリズム
Handles:

- Box、Grid、Sphereツールの新しいハンドル
- コンポーネント単位でのハイライト表示
- コンテキスト別のカーソル表示
- サイズ変更操作の改善
- 中央マウスボタンを使った間接ドラッグ
- ビューポートHUDの操作の改善
Customization:

- Python パネル (PySide および PyQt) に対応
- ノート注釈やテキストフィールドで国際キーボードに対応 (日本語、ドイツ語、アイスランド語など)
- 折り畳み可能なパラメータフォルダ
- WebKit に対応
New Assets Menu:

- Create Digital Asset from Selectionでサブネットを自動作成
- 新しい Lock/Unlock/Save オプション
- ファイル拡張子が .otl [Operator Type Library] から .hda [Houdini Digital Asset]に変更
- Quick Accessにより、Orboltへの簡易アクセス
Create and Set Project Menu:

- File メニューに New Project と Set Project メニュー項目が追加
- File > Set Project によりファイル参照を $JOB で定義
Learning through Statistics:

- 汎用性の高いデータコレクションとクエリエンジン
- mySQLおよびDjangoがベース
- Houdini使用状況をSide Effectsにフィードバック
- 各スタジオで自社内のサーバに送信することも可能
- 各種カスタマイズ可能
- Githubで無償配布

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USER INTERFACE |
Viewport:

- パフォーマンス:再生速度が3〜10倍向上
- 迅速かつ正確なスナッピング
- OS Xを完全サポート (OpenGL 3)
- 3Dおよび2Dビューポートにおける、より高品質なジオメトリ表示
Data Visualization:

- パワフルな新しいビジュアライゼーションアーキテクチャ:
- すべてのアトリビュートタイプに対応
- グローバル、シーン単位、ノード単位
- 予備パラメータとして格納
- HDA およびレンダリングとの関係化を容易に
- HOM スクリプト対応
- 柔軟なフィルタリング機能
- オプションによりツールバーにお気に入りを登録
- 既存のアトリビュートのカスタム表示を置き換え
- 今後 Guide のフレームワークを置き換え
- アドホックジオメトリとアトリビュートの可視化(ビューポート内の Group-List ウィジェット):
- グループ、アトリビュート、関連性の確認
- フィルタ式を用いたスコープ定義
- セレクションモード、または通常のディスプレイオプションとして可視化
- シミュレーションの可視化:プレイバー上のカラーバーによりシミュレーションのクック/キャッシュフレームを表示
New Color Picker:

- Color Editor に Color Wheel が追加
- LMB がスクリーン上の位置での絶対値のカラーピッカーとして機能
- ホイールを押しながら 'T' 'M' 'I'、'H' 'S' 'V'、'R' 'G' 'B' のいずれかのキーを押すことで、一部のスライダの値を固定
- RMB が HSV 各値の相対値の仮想スライダとして機能
- RMB を押しながら、TMI、HSV あるいは RGB のいずれかのキーを押さえることで、それぞれのスライダ上に仮想スライダを作成
- MMB は RMB よりも精確な制御が可能
- RMB またはMMB を単独で押すことで、HSV の明度の微調整が可能
- 画像からの色の選択も可能
- Color Editor に Temperature スライダが追加
- T (temperature: 色温度)、M(magenta: マゼンタ)、I (intensity: 彩度) 用の新しい TMI スライダを追加
- さらに、実世界のプリセットを備えたケルビン色温度ピッカーを追加

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GEOMETRY |
UV Generaton:

- パワフルな UV Flatten と Layout ツール
- 最小二乗による理想的な UV リラクゼーション
- UDIM 対応を追加
- UV ビューおよび 3D ビューポートでの歪みの可視化
- 最適アイランド配置アルゴリズム
- インタラクティブなワークフロー
- UV Flattenツール
- 迅速なポイントおよび頂点 (境界) 選択
- "Pin" ハンドルを用いた UV の微調整
- 既存 UV の再フラット化が可能
- Pelt SOP に新しいペルティングオプションが追加
- UV ビューポートと UV Quickshade で、高解像度チェック柄背景を採用
Point Scattering:

- 再設計された Scatter SOP により、凹面などの難しいケースにも対応
- テクスチャ空間でポイントを均一に分散
- ジオメトリの分散と位置付けが迅速に行える Spray Painting ツール
Surfaces and Solids:

- より一層パワフルになった最新版 Triangulate 2D を搭載
- 新しい Solidify SOP により、欠落ポリゴン含むなど、あらゆるポリゴンセットを完全なソリッドに変換
- FEM ソルバ適用前の四面体化に非常に有効
Inputs and Outputs:

- パックプリミティブの遅延ロードが可能
- 新たに geo ファイル (拡張子は .sc) の BLOSC 圧縮をサポート – gzipの3〜10倍の処理速度
- DOP 出力と同様の Output SOP を新たに追加
- ネットワーク内で表示フラグ変更時に間違う頻度を軽減
- ネットワーク外部から Display/Renderフラグをオーバーライドを可能に
- 新たに、SOP のサブネットから複数アウトプットの設定が可能に

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ANIMATION |
Animation Editor:

- 再設計され名称変更された新しいエディタ
- さらに高品質なカーブ表示
- オートスロープ
- ゴーストカーブ
- コンテキストメニューとホットキー
- チャンネルカラーのオプション
Animation Layers:

- 新しい専用 CHOP による完全なプロシージャル制御
- シンプルで直感的な GUI
Character Picker:

- カスタムの Python ペーン
- ビューポート内の NULL 選択をせずにアニメーション作業が可能
Performance:

- ボーン、キャプチャ領域、ヌル表示の最適化:10〜12倍
- FK/FBX パフォーマンスが向上: 6.5倍
- Alembic 再生速度向上: 3倍
- モーションキャプチャ再生速度向上: 7倍
- キャラクタデフォメーション高速化: 3倍
- CHOP クックの高速化
- 新しい、シンプルなトゥーンリグ Fast Biped により10〜20倍の高速化

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CROWDS |
新しい群集システムは、Houdini と Mantra の両方で効率的に処理が行える、“パックエージェント”という非常にコンパクトなパックプリミティブタイプを採用しています。他にも、地形対応や視点ターゲット、豊富な群集操縦ツール、群集ソルバ、DOPとの相互操作、実用的なモーションを集めたモーションキャプチャのスターターライブラリ、エージェントのサンプル、スタジアムの観衆等のサンプルシーン設定など、便利な機能が数多く搭載されています。
Crowd Creation and Layout:

- 新しい効率的な“パックエージェント”プリミティブタイプを3Dビューポートや Mantraなど Houdini 全般でネイティブサポート
- リグとジオメトリの FBX 入力を拡張
- エージェントのモーションベイクや地形への配置を行う便利なシェルフツール
- 地面にエージェント密度のペイントが可能
- 新しい Sample SOP により、群集配置に対する数多くのオプションを提供
- ジオメトリ形状からエージェントの編成を容易に可能
Visualization:

- ビューポートや Mantra での迅速なインスタンス生成
- 大規模群集 (2万エージェント) の高速リアルタイム表示
- エージェントの複数表示オプション (ポイント、パックプリミティブ、リグ、キャプチャ領域など)
- 適応型 LOD 表示
- カメラ錐台カリング
- GPU アクセラレーションによるデフォメーション
- 任意のエージェント情報の可視化
- 新しい Material Stylesheet を用いたマテリアルの上書きによる用いた効率的な Mantraのプロシージャル
Crowd Solver:

- DOP ベースのステート、トリガ、トランジションの専用ノード
- エージェントとRBD、流体、砂など、動的環境の完全な相互作用の実現
- 新しいコリジョンレイヤのコンセプトによる効率的な衝突検出
- 他のエージェントや障害物とのインテリジェントな衝突回避
- 地形への対応
- Look-at (視点) の対応
- Follow-path の対応
- 豊富な挙動操作セット
- CHOP ベースの柔軟なモーションブレンド用ツール
- 大規模群集の基本モーションのシミュレーションに最適
- オープンな HDA 実装により、アーティストによる拡張が容易
- ツールシェルフにスタジアムの観衆や通りの群集のサンプルを実装
Output:

- Bgeo, FBX および Alembic による出力
- 新しい Material Stylesheet を用いたマテリアルの上書きによる効率的な Mantra のプロシージャル
- Arnold プロシージャル (Solid Angle 社から提供)

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DYNAMICS |
粒子/砂用ソルバ:

- 位置ベースのダイナミクス (Position-based dynamics: PBD)
- 100% VEX での実装:高速かつ本質的にマルチスレッドで高度に並列処理可能
- DOP にパーティクルノードとして組み込まれており、あらゆる動的エレメントやフォースとの相互操作が可能
- 独自の摩擦モデル
- アートディレクションを可能に
- 濡れた砂や乾いた砂に加え、ソリッド、薄いシート、ひも形状などにも対応。(FEM によるソフトボディ、クロス、ワイヤよりも低コストで高速。"granular" シェルフツールおよび新しい Point Deform SOP も参照のこと)
- OpenCL アクセラレーションにより5〜10倍高速化
- OpenVDB 3.0 によるパーティクルコリジョンの速度が 5倍向上
Bullet Solver:

- 10〜20 倍高速化
- 衝突検出をマルチスレッド化
- 初期段階で重なり合っているオブジェクトの処理の高速化
- 凸状ハル計算の高速化
- 独自のBVH計算
- 粒子シミュレーション用の新しい RBD Grains ツール
- RBD Grains はあらゆる既存の Bullet コンストレインと連携可能
Finite Elements (FEM):

- メモリ使用量の10〜15倍低減
- パフォーマンスの向上
- (サブステップごとに) 負荷の軽い破砕
- 新しいコリジョンアルゴリズム
- 破砕ビヘイビアの向上
- より寛容な四面体メッシュの構築
- セルフコリジョン最適化の継続中
FLIP:

- 速度とメモリの最適化
- クロステアリング (断裂) 機能を再実装
- 変形ジオメトリに対する優れた衝突挙動
- 粘度演算の高速化かつ高精度化 (OpenCL 使用時に最大5倍)
- 海と金魚鉢など、極端なスケール差の確実な処理
- ディテールを保ちながら、流体のボリュームとサーフェスをより滑らかにし、優れたルックを作成
- 大幅に改良された Whitewater ツール:ボリューメトリックな泡と使いやすいシェルフツールによる分散シミュレーション処理
- OpenVDB 3.0 によるスケーラビリティの向上と水しぶきのコリジョンの高速化
Pyro FX:

- Particle Curve Force と同様の Gas Curve Force ツール
- カーブに沿って煙や炎をシミュレーション
Particles (POPs):

- より簡単なコリジョンワークフロー
- 新しい "cling (くっつき)" の挙動
- OpenVDB 3.0 によるスケーラビリティの向上とコリジョンの高速化
- 群集の操縦が可能
Dynamics Architecture:

- プレイバーに DOP のキャッシュインジケータが追加
- キャッシュのインテリジェントな部分的解放
- 新しい DOP Output ノード
- 再生専用の DOP ネットワーク
- 新しい BLOSC 圧縮 (拡張子は.sc) による sim ファイル。gzip よりも3〜10倍の圧縮処理速度

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HAIR GROOMING |
Grooming Tools:

- OpenVDB フィールド (毛髪の作成時) および Stroke SOP が元になっている
- 毛髪のガイドに沿った操作
- 完全プロシージャルかつアーティスト制御が可能
- 既存のファーツールとの併用が可能
- 毛髪の作成、カット、伸長、ランダム感や空気感の表現、コーミング等が行えるツールを装備
- 特定の場所に毛根を植え付けることが可能 (ほおひげなど)
- ブラシを使って毛根を押さえることが可能
- 毛髪を梳きながら、同時に伸長することが可能
- グルーミングの設定をジオメトリ間で受け渡し可能
- すべてのグルーミングツールでミラーリングが行え、効率的なグルーミングパフォーマンスを実現
- スクリーンスペースとキャラクタスペースの両方で使用できるツール
- スキンを用いたコリジョンの自動処理
Simulation:

- 数多くのパフォーマンスの強化
- 動的テアリング
Rendering:

- パラメータ追加と改善された毛髪モデルにより、完全なるアーティスト制御を実現
- Mantra によるダイレクトな毛髪レンダリングにより処理速度が5倍以上向上

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LIGHTING AND RENDERING |
Mantra:

- ファーとヘアのレンダリング速度の圧倒的な高速化
- GGX ライティングモデルへの対応
- 直接/間接光線 (その他コンポーネント単位で) のサンプリングを別々に制御
- IPR使用時のプロシージャルなキャッシング
- 起動時間の大幅な短縮
- 最適化されたBVH構造
- 全般的に改良されたピクセルフィルタリングとノイズコントロール
- HDAプロシージャルレンダリングへの対応
- ポイントを球として効率的にレンダリングするオプションを追加 (高速かつ低メモリ)
- より詳細な Mantra 出力
- わかりやすくなったMantra ROPパラメータのラベル ("angle"が"roughness"に変更など)
- シンプルかつ分かりやすく再デザインされたMantra ROP
- 強化された Mantra のシェーダモデル
- レイトレース時の SSS の問題を解決
- より多くの画像とサンプルによる Mantra ユーザガイドの改良
Inputs and Outputs:

- パックプリミティブの効率的なロード (パックプリミティブの遅延ロード機能:File SOPとCrowdsを参照)
- Alembic 入出力機能の数多くの拡張 (SOPラウンドトリップ、ユーザプロパティ、可視性情報など)
- 新たにifdファイル (拡張子は.sc) の BLOSC 圧縮をサポート – gzipの3〜10倍の処理速度
Material Stylesheets:

- 新たな言語/フレームワークにより、コンポーネント、サブコンポーネントベースでマテリアル/レンダリングプロパティの階層的な上書きが可能
- 群集へのマテリアルの割り当て方法として事実上の標準
- 今後、既存の Material Override 機能を置換

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SCRIPTING |
VEX:

- 構造体とクラスのサポートを拡張
- vector2とmatrix2のネイティブ化
- スライス表記: "hello there"[3:4] == "lo"
- 配列に対する sort、slice、reverse、find、appendなどの対応
- CVEXで配列のバインドの対応
- 文字列で []、chr、ord、slice、split、appendなどへの対応 String support: [], chr, ord, slice, split, append, etc
- グループで pcfind、xyzdist (SoftimageのpointLocatorと同様)などへの対応
- バックエンドの最適化を継続中
- 配列用の新しいVOPとVEXでの文字列関数
